経済トーク番組『カンブリア宮殿』は、毎回さまざまな企業や経営者を取り上げ、その経営哲学や事業展開について深く掘り下げています。多くの企業が出演をきっかけに知名度を上げたり、ブランドイメージを向上させたりすることがありますが、その一方で、出演後に業績が悪化し、倒産や経営危機に陥ってしまった企業も少なくありません。
今回は、そんな「カンブリア宮殿に出演した後に倒産や経営危機に見舞われた企業」について、実例を交えてご紹介します。
カンブリア宮殿出演後に倒産・経営危機に陥った企業
1. レナウン
アパレル業界を代表する企業のひとつとして、『カンブリア宮殿』でも特集されたレナウン。しかし、2020年に新型コロナウイルスの影響などで業績が大幅に悪化し、最終的に民事再生法の適用を申請しました。出演当時は「アパレル再生の象徴」として取り上げられていましたが、厳しい時代の波には勝てなかったようです。
2. 大戸屋
「大戸屋ごはん処」でおなじみの大戸屋も出演企業のひとつです。出演当時は、健康的な定食メニューで人気を集めていましたが、その後、創業家と経営陣の対立が激化。最終的には外食大手コロワイドによって買収され、創業時の経営理念とは異なる運営方針が導入されました。ブランド自体は残っていますが、経営権争いの激しさは大きな話題となりました。
3. サマンサタバサ
バッグやアクセサリーで若い女性を中心に人気を博したサマンサタバサも出演経験があります。出演当時は華やかなイメージでしたが、その後、業績が低迷し、債務超過寸前にまで追い込まれたと報じられています。現在は再建中ですが、ファッション業界の厳しさを改めて感じさせる事例です。
4. 日本海洋掘削
海底資源開発を手がける日本海洋掘削も出演企業のひとつです。将来のエネルギー開発を担う企業として注目されていましたが、資金繰りの悪化から会社更生法の適用を申請しました。海底資源開発という先端分野でも、経営の難しさはついて回ることがよくわかります。
5. ユーリーグ株式会社(U-REAG)
シニア女性向けの定期購読雑誌『いきいき』や通販雑誌『ふくふく』を発行していたユーリーグ株式会社も、『カンブリア宮殿』に出演した企業のひとつです。出演当時は、『いきいき』の発行部数が43万部に達するなど好調を維持していました。しかし、2007年春に導入した会計システムの不具合によって財務管理が混乱し、取引先や金融機関からの信頼が低下。その結果、2009年3月に東京地裁へ民事再生法の適用を申請しました(負債総額は約65億円)。その後、事業は新会社「いきいき株式会社」に譲渡され、現在は「株式会社ハルメク」として再出発を果たしています。
倒産・経営危機が目立たない理由
実は、『カンブリア宮殿』に出演する企業は、ある程度の実績があったり、注目を集めていたりする企業が多いことから、放送後すぐに倒産するというケースはあまり多くありません。もちろん、経済状況の変化や内部の経営トラブル、想定外の外部要因(パンデミックなど)によって状況が一変することはありますが、倒産企業の数自体は多くはないという印象です。
ただし、出演企業の経営が厳しくなったり、買収や業態変更によって当初の理念から大きく舵を切ったりするケースは散見されます。放送当時の華やかな姿と、現在の実情のギャップを見比べてみるのも、番組ファンとしては興味深いかもしれませんね。
おわりに
『カンブリア宮殿』は、出演する企業の魅力や経営哲学を伝える素晴らしい番組です。しかし、出演後の企業すべてが順風満帆というわけではなく、倒産や経営危機に陥った例もいくつかあります。
特に、レナウンや大戸屋、サマンサタバサ、日本海洋掘削といった企業は、経済環境の変化や内部の問題によって厳しい状況を迎えました。
出演=成功の保証ではないという現実を知ったうえで、今後も企業の動向をチェックしていきたいですね。
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